立石 雷 Rai Tateishi

篠笛・太鼓奏者

1988年12月10日、滋賀県高島市出身

陶芸家の父と染色家の母の間に生まれる。
2011年より太鼓芸能集団「鼓童」で活躍。
2015年、鼓童を退団し、ソロ活動を開始。
姉とイベント企画チーム「stands」を立ち上げ、数々のイベント、ワークショップを開催している。

公式サイト:http://www.stands-tateishi.com/

まず音楽を始めたきっかけを教えてください。

小学校のときスポーツ少年団のサッカーに入っていたのですが、あまりうまくなく、なじめませんでした。
何か別のことをやりたいと思っていたとき、中学の吹奏楽部だった3つ上の姉が、ドラムをやればもてるんじゃないかと言ってくれました。それで近所のドラムを教えてくれる教室で習い始めたのがきっかけでした。ドラムを始めて1年くらいたったころ、父がドラムセットを購入してくれました。

ドラムから入ったんですね。その後、篠笛に出会うまでのことを教えていただけますか。

高校生の頃、将来はイベントプロデュースをするような仕事をしたいと思い、観光系の大学に入りました。しかし、あまり大学の授業内容に興味が持てず、1年くらいでやめてしまいました。
そして自分は何をしたいのだろうかと考えていたとき、鼓童の研修所で厳しいカリキュラムのもとメンバーを養成していることを知り、そのスタイルに憧れを抱きました。また、厳しい環境に身をおくことによって、自分のやりたいことが見つかるのではないかという思いもあり、鼓童の研修生になったんです。

最初は和太鼓のこともよく知らなかったし、鼓童の音楽を聴いたこともありませんでした。
でも、鼓童の研修の中で和太鼓と笛に出会い、練習していくうちに、その魅力にはまっていきプロを志すようになりました。

その鼓童の研修所のスタイルというのは具体的にどのようなものですか。

先人の教えに、「良い太鼓打ちである前に良き人間であれ」という哲学があります。
それは人間としてのベースを大事にせよということだと思います。
鼓童の研修所の生活では、朝早く起きて走り、田植えをし、自分たちで最低限必要な食物は自分たちで作る。そのような生活の中で日本の伝統芸能を幅広く学びました。
研修所に入ったのが20歳のとき。22歳で準メンバーになり、そして23歳で正メンバーになりました。

篠笛(しのぶえ)という楽器について教えてください。

篠笛は日本の木管楽器の一つです。
篠竹に歌口と指穴を開け、漆を管の内面に塗った簡素な構造の横笛です。昔から日本各地の祭り、獅子舞、神楽等の民族芸能をはじめ、民謡などさまざまな音楽に使われてきました。

太鼓や篠笛以外で好きな楽器はありますか。

実は元々ハンドパーカッションが好きなんです。
例えば、カホンやジャンベといった楽器ですね。

それは意外でした!どういったミュージシャンが好きですか。

あげれば星の数ほどいますが(笑)、80年代のロックが特に好きで、Totoなどをよく聴いていましたね。
元々ドラムをやっていたので、ドラマーでは特にジェフ・ポーカロが好きですね。
笛奏者だと、僕の篠笛の師匠で、笛を学ぶきっかけをくれた鼓童名誉団員・山口幹文です。
山口さんの笛の音を聴いて、すごくかっこいいと感じたことが僕が笛を始めたきっかけでした。普段はめちゃくちゃな人なのに、笛の音色は本当に美しいんです。そのギャップがものすごい人ですよ(笑)。

また、鼓童時代は、アーティストに限らず、照明・演出・舞台監督などあらゆるジャンルで一流の人達が集まっていました。
その人達と交流ができたことが財産となり、今の自分があると思います。

色々な音楽や芸術全般に触れることで自然と身に着いた、懐の深さが立石さんの演奏の魅力の一つだと思います。
鼓童を離れ、今のstandsの活動を始めたきっかけは。

自分の育った実家の古民家を利用して、音楽だけにとどまらない、何か新しい活動をやりたいと思い独立しました。それに、自分の力でゼロから初めて、どこまでやれるのか挑戦してみたいという気持ちもありました。
今は、実家の古民家を中心にしてstandsの活動をやっています。
姉とはずっと前からこういう活動をしたいという話をしていたので、鼓童をやめてすぐにstandsを開始できました。
ちなみにstandsというのは自分の名前、立石(=Stand Stone)というところから取ったんですよ。

鼓童の脱退後、現在までの活動を教えてください。

鼓童を脱退してからはソロで演奏する他、ダンサーと一緒にお寺や神社でパフォーマンスしたりしています。
他にもピアノやボーカルと合わせて演奏したりもしています。
特に、今年はチベットと韓国のミュージシャン、ダンサーと僕の4人でユニットを組み、アジアの民族音楽をベースにした音楽ツアーを予定しています。
6月にはスペインのバルセロナで、現地の日本人の方がやっている祭りに加わり、バルセロナ音頭という踊りの演奏をします。その踊りの創作者の方が、僕がソロで活動を始めたことを知って、誘ってくれたんです。

立石雷が使用する「蘭情管」。笛師・蘭情氏により丹念に制作された逸品。
唄物と呼ばれる西洋音階に即した、なじみのある調律のものがほとんど。
一本は古典調と呼ばれる伝統的な調律のもの。

ロックンロール・ドット・コムでのレコーディングはどうでしたか。

鼓童の先輩だった坂本雅幸さんが岡山県津山市のご出身だったことから、何回か津山にも公演に来たことがありました。
ソロになったあとも、岡山で演奏したりしていて、その縁でロックンロール・ドット・コムを知りました。
最初は「すごい機材があるから見に行ってみようぜ」っていう話になって訪れ、何度か来るうちに、今回のレコーディングをすることになりました。
ここではエンジニアと一対一で作業ができ、徹底してこだわりの音を追及できるという点がいいですね。

今後の活動について。

伝統芸能というのはすごく難しいジャンルだと感じます。
今の僕らの生活スタイルからは、ああいった音楽は新しく生まれないと思います。伝統芸能というのは昔の文化や生活に根差したものですから。
古い音楽をコピーするしかないという状況で、どうやって伝統を維持していくかというのはすごく難しい問題なんです。
僕らなりに先人の音源を聴いたり、日本の歩んできた歴史を学ぶ中から、想像を膨らませて再現するような音楽を純邦楽と呼んでいます。
その一方で、今の人に受け入れられやすい音楽や、自分の好きなジャンルの音楽の中に伝統音楽を取り込むということも同時並行でやっていかなければいけません。
笛一本でも聴かせられ、西洋楽器ともセッションでき、そしてダンスなどの音ではないものとも合わせられるような、幅広い表現方法を見つけていきたいです。

笛教室でのレッスンにも力をいれているそうですね。

自分自身のライブ活動とのウェイト配分が難しいのですが、篠笛の人口は少ないので、篠笛をやりたいけどやり方がわからないという方々がたくさんおられます。その人達に篠笛を始めるきっかけを与える活動をしていきたい。

あと、僕自身がそうでしたが、日本の民謡とか伝統芸能にかっこいいというイメージが全くなかったんですよ。
僕は鼓童との出会いをきっかけにして、日本の様々な祭りや芸能に触れ、伝統芸能ってこんなにかっこいいんだということに気づかされたんですね。
でも、今の音楽教育のやり方では、なかなかそういうところに行きつかないので、子供に邦楽の太鼓や笛がかっこいいということを伝えたい。
そういった機会を作ることが、自分の活動ですごく大事なことなんです。

最後にリスナーに一言、お願いします。

うちに遊びにきてください。
最初から「伝統芸能はこうだから」みたいな難しいことをやろうとは考えていません。
何でも楽しいことを一緒にやれる仲間という感覚で、気軽に遊びに来てもらえれば嬉しいですね。

篠笛レッスンについて

立石雷が教える篠笛教室。1回60~90分程度。
定期開催している教室は下記のとおりです(2016年3月現在)。
他にもご要望に応じ、高島市の立石家での不定期開催なども実施しています。

教室 場所 マップ
大阪交野教室

いきいきランド交野

大阪府交野市向井田2-5-1

グーグルマップで見る
滋賀堅田 JEUGIA教室

アル・プラザ堅田センター

滋賀県大津市本堅田5-20-10 アルプラザ堅田3F

グーグルマップで見る

詳しくはstandsの公式サイト内でご確認いただくか、下記の連絡先までお問い合せください。

お問合せ
TEL
080-1503-7287 (携帯)
メール
rai.tateishi@gmail.com

2016年2月 STIスタジオにて